北茨城に水揚げされるあんこうは、常磐沖の漁場で獲れるもので、「きあんこう」と呼ばれる種類のものです。普通のあんこうの体色が黒褐色であるのに対し、きあんこうはその名の通り黄色みがかかった黄褐色です。また、あんこうには口の中に白い斑点があるのが特徴ですが、きあんこうにはありません。食用としては肝の脂が上質であることから、きあんこうの方がより美味であるとされています。
代表的な料理は『鍋』で、10月から市内の店舗で提供する店が増え、11月から3月が“旬”と言われます。
骨以外は捨てるところがないと言われるあんこう。各部位は「七つ道具」と呼ばれ、それぞれの風味や食感などを活かした料理に使用されます。
どぶ汁は北茨城の郷土料理です。元々は平潟の漁師が、当時売り物としてはそれほど価値のなかったあんこうを、船の上で暖を取るために食べ始めたと言われています。
あんこうの肝を鍋に直接炒りつけ、味噌を加え、あんこうと野菜から出る水のみで煮込むという、野趣溢れる濃厚な風味が特徴です。水を使用しないためあんこうの味が凝縮された濃厚な一品です。
どぶ汁の料理方法がベースになっているため、北茨城市のあんこう鍋は味噌仕立てです。どぶ汁同様のあん肝が溶け込んだ濃厚なスープ、あんこうの七つ道具、そして季節の野菜や豆腐などもふんだんに入った鍋で、各地の鍋グランプリで金賞を受賞するなど、全国に認められている一品です。他の地方では塩や醤油ベースのあんこう鍋もあります。
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あんこうの部位で最も珍重されているのが肝です。
肝は淡白な身の部分とは異なり、濃厚な味わい。よく肥えて脂の乗った肝はフォアグラと比較されるほど。
蒸した肝を、さっぱりとしたポン酢でお召し上がりいただくのがオススメです。
共酢和えは、あっさりとした身を茹でたものや、コラーゲンたっぷりの皮や胃などを煮凝り状にしたものを、共酢(あんこうの肝を合わせた酢味噌。肝のことを「とも」ともいうことが由来)につけて食べる料理です。あんこうの各部位の異なる食感をお楽しみ下さい。